新しいプレミアムモルツ

サントリーといえば誰もが知ってる洋酒業界の最大手。その王者の長年の夢がビールメーカーとしても一流になること。ウイスキーを初めとする洋酒類で上がる莫大な利益をビールに投資しまくって大量のCMをうち、販促品を大量に配りまくった。我が家にあるモルツのグラスの数といったらもう・・・。普通の上場企業だったら株主から文句が来そうなことをやっていたわけですが、それでも結局売り上げはたいして上がらず、じり貧のサッポロのおかげで最下位は脱出できたものの、結局ぱっとせず。そんな中、サントリーから初めて生まれたヒット商品がプレモル。エビスと並んでプレミアムビールの代表銘柄に(ビール業界下位2社の製品というのが面白いね)。

プレモルの人気の秘密は他のビールとは明らかに違う味わい。麦汁のリッチな味わいと華やかなホップの香り。他の大手国産商品とは明確な差別化がされており、普通のビールとの差額を出す気にさせる味わいになっている。そこに莫大な販促・宣伝費をプレモルに集中させ、さらに悪名高き(笑)モンドセレクション最高金賞をアピール。味とイメージ戦略の両方でファンを獲得した。

そんな人気のプレモルがここへ来てなぜかフルモデルチェンジ。

どう変わったかというと、

発売以来私のTLに流れてきたのはおおむね似たような感想。かなりわかりやすい味の変化だったようです。人気商品がここまで明確に味を変えてくるのは珍しいんじゃないかなあ。

味はどう変わったかというと、特徴だった麦汁のリッチな味わいと華やかなホップの香りがどちらも結構弱くなった印象。そのせいで苦みが引き立つようになったと思われる。プレモルのファンはこのリッチな味わいと華やかなの香りが好きだったわけで、これを弱めたらファンが怒るのは当たり前というか…

この分析にはかなり同意。人気商品にはなったけど、もう一段の飛躍のためにプレモルが好きじゃない層、つまり強すぎるフレーバーが気に入らない人たちのために味を変えてきたというのは、かなりあり得る。

あと、これだけ風味が強いとビール単体で飲むにはおいしいけど、和食を初めとした料理と合わせにくいというのもあって、食中酒として考えたときのバランスで風味を弱めるということもあるかも。飲食店に売り込みに行ったときに店側からそういうコメントが出る可能性はあるからね。

あとは「飲み飽きない味」を目指したため、というのもありそう。味わいがリッチすぎるとまったりした印象で飲み飽きる懸念はあるので、苦みをきかせてすっきりさせることで飽きが来にくいというのは考えられるかな。他にも、最近のビール好きの人の間では結構苦めのクラフトビールとかがはやっているので、そういう流れもあるのかも。私も普段はインディアンペールエール(IPA)を飲むことが多いので、新しいプレモルくらいの苦みだと特に苦いビールという印象には全然ならないんですけどね。

メーカーの側は大幅モデルチェンジの時は既存ファンに嫌われないか相当気を遣ってるはずなんだけど、今回はどうなんだろう。売り上げと消費者の声には敏感なはずなので、不満がある場合にはお客様窓口とかに熱いお手紙とか書くと良いんじゃないかなあと思ったり。ちなみに缶ビールの場合、グラスに注ぐと味が変わるので、おいしく感じるようになるかもしれませんね。