消費は美徳

私のTLで歴史的に最も評価の高い座右の銘と言えば『迷ったら、高い方』であることは言うまでもない。迷っている両者が方向性の違うものなら『迷ったら両方』という亜種もなかなかすばらしい。そんな折、最近新たな名言が。『迷う理由が値段なら買え。買う理由が値段ならやめておけ』安物買いの銭失いよりは本当に欲しいものを買った方がいいという至極真っ当なはなし。メーカーだって負けてない。ちょっと古いけど『趣味なら、本気で。』は簡潔で本当にいいメッセージ。まあ、本気出して60Dなのかよという点は、当初から言われていたとおり、大いに疑問が残るが(笑。

TLではこれだけ威勢の良い名言が連日飛び交っているというのに、最近の大手メーカー各社の決算には本当に衝撃を受ける。震災や洪水の影響があったにせよ、みんな全然モノを買わないんだな。あるいは充分値下がりするまで待ってから、さらに量販店で値切る私のような悪徳顧客が多いせいかもしれない(ごめんなさい。

実際、モノを買う時のことを考えてみる。カメラが趣味の人は、本気だから発売前どころか発表前から情報収集に余念がなく、これだと思う機種は万難を排し、発売日にゲットする。で、購入したおよそ半数に残念な点を発見してヤフオクに売り飛ばし、次回の購入資金に充てる。まさに本気。家庭を崩壊させる直前、ぎりぎりまで資金を投資し続ける。これこそ本気。一般人の近寄れる領域ではない。一方、写真が趣味の人はカメラやレンズ自身にそれほど思い入れがあるわけではないにしろ、自分の表現したい世界がこのレンズなら表現できるかもしれないと妄想し始めると、とどまるところを知らない。結局レンズ沼にはまっていくのだと伝え聞く。日本経済を救うかもしれないのはこういう中毒命がけの人々だ(笑。

では、趣味じゃないから本気じゃない人はどうやって買い物をすべきか。これはなかなか難しい。趣味じゃない、つまり生活必需品として買うんだから、必要十分でなければならない。本当に必要であること、さらにこれより安い機種じゃダメなんだということを説明できる必要がある。量販店のワゴンに積まれた特売品ではダメな理由を説明することはかなり難易度が高い。何しろ買おうと思っている人もそれを審査する人も一般人なのだから…

そもそも、機種選定だって大変だ。ボリュームゾーンだから多数のメーカーからたくさんの機種が出ている。量販店には似たような商品がずらりと並んでいて、そもそも区別がつかない。さらに、差別化のため、毎年のように新しい機能がどんどん発明されていく。しかもメーカーごとに同じ機能の呼び名が違っていたり、同じ名称の機能なのに実際の性能に大きな開きがあったり。一般人にはとてもついていけない。それでいながら廉価機はコスト削減も激しいので、カタログには現れない不便さや弱点が隠れていたりする。こんな中から自分に必要な機種を探し出すのは相当難しい。いや、カメラで言えば、一番の問題は、自分にとってどんな性能のカメラが必要なのか自分自信でわかっていないこと。それどころか、自分がどんなシチュエーションで写真を撮るつもりなのかさえ思い描けない人も多いわけで・・・

一番の解決法は趣味じゃなかった人を趣味にしてしまうことかな。無限の可能性が広がるからね。売り手側の皆様はそのための地道な努力をしていかないといけないんだろうなぁ。特にカメラはこのところずっと変革期にあって、一番面白いガジェットなんだから。